力道山亡き後、混沌状態に陥った日本プロレス界を立て直し、エースとして牽引したのが、言わずと知れたジャイアント馬場。「週刊少年キング」に連載された『ジャイアント台風』という馬場の伝記マンガが人気を博すなど、馬場は昭和の時代、長嶋、王と並ぶ少年たちのヒーローだった。
今では考えられないが、
昭和40年代の半ば頃までは、プロレス記事がスポーツ紙の1面をたびたび飾っていた。馬場と「人間発電所」ブルーノ・サンマルチノ、「黒い魔神」ボボ・ブラジルらとの死闘が、現在の東スポと同じ風に、報知、スポニチや日刊スポーツ紙上で詳報されたものだった。
その頃、日本テレビプロレス中継の解説者だった田鶴浜弘が書いた『プロレス血風録』(昭和43年発刊)という本を夢中になって読んだ。フランク・ゴッチとジョージ・ハッケンシュミットの伝説の名勝負から、「鉄人」ルー・テーズ登場に至る近代プロレス史、力道山と日本プロレス草創の時代、それを支えた選手群像が仔細に綴られていた。女子プロレスや小人プロレスの紹介にも紙幅が割かれ、プロレスファンにとっては、小版ながら百科全書みたいな本だった。
その『血風録』後半では、田鶴浜氏の眼で見た(当時の)現役レスラーランキングが記されていた。田鶴浜氏は、馬場、サンマルチノ、「人間風車」ビル・ロビンソンの3人を最強ベストスリーと位置づけ、続く実力者として(記憶定かでないが)、カール・ゴッチ、テーズ、ジン・キニスキー、バーン・ガニアあたりを挙げていた覚えがある。さらにブラジル、フリッツ・フォン・エリック、ダニー・ホッジ、キラー・コワルスキー、モンスター・ロシモフ(後のアンドレ・ザ・ジャイアント)、ゴリラ・モンスーン、ペドロ・モラレスなど今となっては懐かしいレスラーの名前が選手名鑑を兼ねる様に、コメントつきで列記されていた。アントニオ猪木も格下扱いながら加えられていたはずである。入手できるものなら、再読して確認してみたいところだ。
いつ頃からか、「プロレス=ショー≒八百長」という見方が、一般にすっかり定着するようになった。確かにリングでは、戦う2人が練習を積んだ如く息の合った攻防を繰り返し、時に過剰すぎるアクションで振舞う。強豪外人が集まるワールドリーグ戦でも最後は必ず日本人が優勝する。馬場がインターナショナルチャンピオンの王座を失ってファンをやきもきさせるが、3日後には取り戻し、逆に米プロレス界の看板タイトルNWAを馬場が奪取してファンを歓喜させながら、やはり3日後(ぐらい)の再戦で奪還され無事アメリカの手にベルトが戻る。どうも展開が出来すぎだと大方のプロレスファンも気づいていた。
やがて元レフェリーが著書で、プロレスにおいては、試合前にほぼ勝敗が決定づけられていることやショー的演出の内実を生々しく暴露したりして、プロレスは正統なスポーツとしての評価を世間的に失ってしまった。今では、一定の筋書き(ストーリーライン)を前提に、レスラーたちの鍛え上げられた肉体と、豪快な技の数々をエンターテインメント格闘技として楽しむことが、「成熟した」プロレス観戦術であるとわきまえられた感がある。
それだけに、プロレスの世界では、ボクシングのように「時代を超えて誰が一番強いか=オールタイムランキング」という真剣な議論が、専門家やファンの間でなされる機会はほとんどない。と思いきや、本場アメリカでは『Top 100 Pro Wrestlers of All Time』という本が2002年に出版されていた。
この本ではランキングにあたり、プロとしての成功度やその選手が与えた歴史的インパクト、リングパフォーマンス、ファンへのアピール、全盛時の状態やさらに当時の評判などを尺度として、総合評価を行っている模様だ。
結果として、1位はリック・フレアー、2位テーズ、3位力道山、4位猪木、5位ハルク・ホーガンと続く。アメリカのネットフォーラムでは、これに対する異論や反響もかまびすしく、特にオールドファンを中心に、何といってもルー・テーズの功績・強さを評価する声が高い。力道山の名前も、日本でのプロレス生みの親として、米ファンの間ではつとに知られているようである。
プロレスはアメリカと日本が興行的に大きなマーケットと化しているため、同Top100リストには、日本人(在日韓国人も含めて)レスラーの名前も多く見られる。主だったトップレスラーはほとんど名を連ねている。
45位に長与千種、69位ジャガー横田、70位ライオネス飛鳥等の日本人女子プロレスラーがランクインしている。ちなみにアメリカ人女子レスラーの草分け的存在ミルドレッド・バークがそれより下位の77位にランクされているが、これはバークに対していささか敬意を失しているのではないか。バークこそ女子レスラーの先駆者であり、日本の女子プロレス界にも多大な貢献を果たした人であるから。
References:Top Pro-Wrestlers of all time fight it out...
The Top 100 Pro Wrestlers of All Time Reviewed In Wrestling Perspective
Posted: 3 April 2010
偉大なプロレスラー100人
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