幼い頃、学校の教科書や文学全集で誰もが読んだ「偉人伝」。厳しい境遇やさまざまな困難を克服して功成り名を遂げた偉人の伝記に、子供なりに刺激を受けた。
感受性豊かな少年少女期に、偉人の足跡を学ぶことは、情操や人格形成に大きな影響を及ぼすという。終生貫く志をもたらす契機となった事例も耳にする。それゆえ、学校教育における「偉人の選定」は、国策と結びつくことが多かった。
かつて、多くの小中学校の校庭に、二宮金次郎が柴を背負いながら書物を読む姿の銅像が建立されていた。貧しい家に育ちながら独力で学問を修め、時の政治体制を尊重しつつ勤勉と倹約、忠孝報恩を説き、農政改革によって農村の振興に力を尽くした金次郎(尊徳)の生涯。それは、維新後大急ぎで近代国家樹立を目指す明治政府や、国民に艱難窮乏を強いた太平洋戦争時の国家体制において重んじられた。しかし、戦後、欧米の自由主義の流入もあって教育思想が大きく様変わりする中、かつての偉人金次郎の銅像も軍事教育の象徴と捉えられ、ほとんどの学校において撤去されてしまった。教育荒廃や経済不況が深刻さを増す昨今では、今また二宮尊徳や上杉庸山など、高い精神性をもって努力した日本人が、原点回帰のお手本として注目されている。
児童書の出版で定評のあるポプラ社が、昭和20年代後半から30年前半にかけて、全100巻にわたる子供向け偉人伝全集を出版している。そこで取り上げられた偉人の顔ぶれを眺めてみると、おなじみのエジソンや野口英世、豊田佐吉や戦国武将などが並んでいて懐かしい。が、それらに混じり、石川理紀之助、佐藤信淵、和井内貞行等この人誰?という人物も挙がっている。二宮尊徳と同じく、農村や地方開拓に身を捧げた人々が、まだこの時代の日本人にとって英雄であったようである。
同じポプラ社が、今年3月に「この人を見よ!歴史をつくった人々伝」全20巻を刊行した。豊臣秀吉、宮沢賢治、ヘレン・ケラー、ファーブルらレギュラーメンバーに加えて、手塚治虫やオードリー・ヘップバーンなど斬新な顔ぶれが偉人に加わっている。
Reference:http://www.poplar.co.jp/
Posted: 16 June 2009
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