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山田洋次監督が選んだ日本の家族映画の名作50本

名作映画100

NHK BSプレミアムの『山田洋次監督が選んだ日本の名作100本』という企画で、4月から毎週日曜日、邦画作品がテレビで上映されている。山田監督が自ら作品として追い続けてきた「家族」と「喜劇」をテーマに、監督自身のセレクションによる名作映画を、2年間にわたって放送していく予定という。初年度の今年は「家族もの」の傑作50本が週替わりで登場している。

先日放送されていたのが『泥の河』という全編モノクロームの映画。小栗康平監督作品集 DVD-BOX

宮本輝の小説を原作とし、小栗康平の初監督作品として1981年に公開されるや、モスクワ国際映画祭銀賞、キネマ旬報ベストテン第一位、ブルーリボン賞最優秀作品賞を獲得するなど、内外で高い評価を獲得した見るたび切ないこの映画。

時代は昭和31年、日本が朝鮮戦争特需で復興の波に乗り、「もはや戦後ではない」の文字が経済白書に踊った高度経済成長幕開けの頃である。しかし舞台である大阪安治川の河べりの町には、そこから取り残された貧しい庶民の姿があった。

河口付近で小さな食堂を営む中年夫婦のひとり息子信雄は、ひょんなことから喜一と銀子という姉弟と友だちになる。姉弟は、対岸に浮かぶ小さな舟で起居する船上生活者だった。信雄の両親は、姉弟と息子の交流をやさしく見守り、2人を自宅に招いて温かくもてなす。信雄も舟を訪れ、妖艶で美しい母親(加賀まりこ)とことばをかわし、友達になってくれたことに感謝される。しかし、信雄は父親に「ただし夜は舟に近づいたらあかんぞ」と固く告げられる。

実は姉弟の母親は、河に浮かんだ舟の中で、夜な夜な売春を営みながら、一家の糊口をしのいでいたのだった。河面に浮かぶ怪しげな廓舟の子どもとして、周辺の住人は、さげすみと差別のまなざしで姉弟を眺めていた。

天神祭りの晚、お金を落としてしょげかえる信雄を元気づけようと、喜一はいつもの夜は近づかない自分の舟に信雄を強引に誘う。泥の河に突きさされた竹箒に、喜一の宝物の蟹の巣があった。喜一はランプの油に蟹をつけ火だるまにし、その蟹を辿っていった信雄の眼が硝子越しに、真下でちょうど情事の最中だった喜一の母親の視線と交差してしまう。ぎょっとする母親。

翌日、喜一一家の舟は逃げるようにしていつもの場所から離れていった。「きっちゃーん!」と叫びながら、信雄が消え行く舟の姿を追い続ける姿が哀しい。

Posted: 19 September 2011

 

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