奇想天外なキャラクターに度肝抜くバイオレンス、ベタとスリリングな展開を交差させながら、ひたすらエンターテイメントを追求するアメリカの奇才クエンティン・タランティーノ。映画監督として世に出る前、若き日の彼が、レンタルビデオ店で働いていたのは有名な話である。
その頃タランティーノは、ビデオの山に埋もれながら、来店した客と暇さえあれば映画について語らう一方、独学でシナリオ作りに没頭していたという。日本のヤクザ映画やアニメにも傾倒し、
2003年公開の『キル・ビル(前編)』は、敬愛していた故深作欣二監督へのオマージュとして製作された。日本を物語の舞台として、千葉真一や栗山千明が奇々怪々な役柄でユマ・サーマンの脇を固め、梶芽衣子の『修羅の花』や『怨み節』が挿入歌として使われるなど、タランティーノのマニアックな一面が表出していた。
ビデオショップで働くスタッフたちが、皆タランティーノの様に熱狂的な映画ファンとは限らないだろうが、店長やバイヤーを務める人ともなれば、新旧、内外を問わず幅広く作品に触れ、その中味や過去の興行成績にも知悉したうえで、仕入れに気を配り、魅力を伝える惹句も捻り出さなければならない。一般の映画関係者以上に、映画産業の「最前線」に立っている人たちといえるかもしれない。
そうした映像のソムリエたる「ビデオ屋さん」が、この1年でいちばん面白かった、お勧めの"マイベストDVD"を決める「第1回ビデオ屋さん大賞」の結果が、先日発表された。
レンタルビデオ店、セル店に従事する合計1,734 人の投票によって選ばれた100作品のリストを見ると、1位の『サマーウォーズ』をはじめ、『アバター』『トイ・ストーリー3』、『エヴァンゲリオン劇場版』、『ヒックとドラゴン』等々アニメ、CG作品が目立つ他、話題を呼んだ邦画、洋画の数々が上位にラインアップされている。同時に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『サウンド・オブ・ミュージック』など懐かしの名作の記念版も。
ウェブサイトでは、作品毎にビデオ屋さんたちの推薦文が掲載されているが、曰く「予想を遥かに超え、きっと大切な作品になる」「観た後に心に残るのはじんわり温かい心のぬくもり」など、流石に興味をかきたてられる「キャッチコピー的」コメントが並ぶ。何かと閉塞感の強い時代ゆえか、ビデオ屋さんの推奨も、心洗われる「感動作品」が多くなっている。
ちなみにタランティーノの近作『イングロリアス・バスターズ』は36位にランクインした。
Reference: 第1回ビデオ屋さん大賞
Posted: 2 April 2011
第1回ビデオ屋さん大賞作品リスト
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